咲き乱れる花の群生に身を包んだ彼女は、ぼくとともに成長していた。
今日も彼女に逢えた。
微笑む彼女。
涙ぐむぼく。
このままずっと醒めないでほしい。
醒めない夢のなかで舞ちゃんと暮らしたい。
「なにを言っているんだ」
もうひとりのぼくが夢の真実を語りたがる。
「これは夢なんだ。覚めればそこで終わりさ」
「夢か」
「ほらね」
天井から覗きこむ少女のポスターと目があった。
せのポスターは美少女のフィギュアが描かれている。
夢と現実の境界線をいったり来たりしながら、南沢夏樹は寝ぼけ眼をこすった。
窓の外を覗くと夏空にトンボが悠々と空を泳いでいる。
気だるい身体に羽を付けて、あの白い雲で飛んで行きたいとトンボに願いをかける。
カナカナと鳴く蜩の音色が、夏樹の郷愁に語りかける。

舞ちゃん……。