ある日

ミカンが出窓に座ってマニキュアを塗りながら話し掛けた。

「ナツって、すごい優しいよねぇ」

『優しい』という言葉に過剰に反応してしまうナツ。

「そりゃ、ミカンだから。誰にでも優しい訳じゃねーよ。」

「ふ~ん。そっかそっか」

無垢なミカンの笑顔を見てナツは満たされいく。

時間があって無いような、マイペース過ぎるミカンとの日常。

「何かぁ、倖せだよね?」

「まあね」

「明日もいい日だといいねぇ」

ミカンの口癖。



(明日も明後日もたぶんいい日だよ)

言おうと思ったが、照れ臭くて含み笑いした。



1日1日が刹那かった。




(時間のスピードは本当に一定なのか?)


猜疑してしまう位に。

1日、1分、1秒ごとに、不完全な愛情を2人で積み上げていく。