シーサイドビーチでバカンスを享楽していたコケティッシュ[色っぽい]なマーメイド達が荷物をまとめ、飛沫を上げて南国へ向かう。


その飛沫が波紋に変わり、やがて波にさらわれる頃、人の心に微熱を残したまま夏は秋へと移って行く。


18歳を迎えたばかりのナツの所へ、ハチベーが中古で買ったワゴン車に乗って来た。


「すっげぇ!お前免許取れたの!?どっかドライブ行こうぜっ」


この日からナツ達は夏を取り戻すかのように、連日ナンパに繰り出した。


別に女を探す為ではない。

仲間とバカをやって忘れていたい事が沢山有ったから。


ハチベーの車は、持ち主の名前から「ハチップ」と名付けられ、皆を色々な場所へ運んでくれた。


車内の天井には焦げた[貞子]という字があった。


「ハチベー!この車呪われてんぞっ!!」


納車1日目にアユムがナツを笑わせる為にライターで焼いたのだ。

皆、ナツを必死に笑わせようと躍起になっていた。