小雨の降るなか家路に着くと玄関前で1匹の子猫が震えていた。

猫なのに濡れネズミみたいなキティ[子猫]。

モノクロな模様をまとい、可愛げのない顔をしている。

「お前、1人ぼっちなのか?」

そう言って手を伸ばすと尻尾を立て牙を剥いた。

「心配すんなって。取って喰う訳じゃねぇよ。不味そうだしな」

ナツは笑いながら部屋に連れて上がった。

ホットミルクを少し冷まし、目の前に置いてやると

「ミャウ ミャウ」と鳴きながら舐め始めた。


「お前変わった飲み方すんなぁ。やっぱ猫舌なの?」

ナツは自然に笑えた。


「お前名前は?」

「ミミ?」
「ララ?」

「う"ーん"、ナナ!?」

すると「ミャー」と返事した。

「そっかぁ、ナナかぁ」

そう言いながら毛繕いしていたナナを抱き上げた。

「お前オスじゃん!じゃあ、ナナ吉な!今日からナナ吉だ。ヨロシクな相棒」

「ミャウン?」

ナツの心の闇が少しだけ晴れた感じがした。