グラスに当たり「カラン」と鳴る溶けだした氷の音。

哀しみに溺れるナツの心に冷たく突き立つ。


店内に流れるブルージーなBGMが止むと、サリーは何も言わずギターを手にした。

(左利きのサリーがギターを持つ姿は誰よりカッコイイ)


サリーの奏から生まれ出る、目に見えそうな音の1つ1つがメロウ[柔らか]で心をそっと温めてくれる。

ギターを弾き終えたサリーが隣に座り

「どぉ?1人じゃねぇって思えただろ?」

と笑った。


そう言われたナツは、ようやくポツリ ポツリと語り出した。





「哀しみとか、苦しみとか、痛み、孤独だってアイツが生きていてくれるなら俺が引き受けたって構わないと思ってる。自分の気持ちも犠牲にしてもよかったのに」


サクラに何もしてやれなかったと悔やむナツ。




「なぁナツ?人なんて自分が思ってるより何も望んでないと思うぜ」