翌朝、目覚めるとサクラは出窓に体操座りし、ナツの顔を見つめていた。

「おはよ」


サクラの表情は優しく、昨夜のヒスが嘘のようだった。

しかし、ナツはその笑みがフェイクで、その裏に帯びているほんの僅かだが隠しきれてない物憂げさを泣き腫らした瞳から見逃さなかった。


「あぁ。てか、何でそんな所で人の顔見てんだよ!?」

「あぁ、これが私の好きな人の顔なんだなぁってね」

「何だそれ?朝から変なこと言うなよ」

「変なことじゃないもん!」

ナツは他愛もないこんな日常会話が何気なく嬉しく、それでいて少し照れ臭かった。



最近サクラとまともに出歩いてない事に気付いて

「久し振りにどっか行くかぁ?」と訊いた。


「ううん。行きたくない。今日は一日中ゴロゴロしよー。DVD借りて見ようよ」

サクラのやりたいように、昼からレンタルショップに行き、DVDを2本借りてきた。

1本目はナツが選んだホラーを見た。




ナツは夜にホラーを見れない。