うんざりしながら携帯を開くとサクラだった。


「おつかれ。遅いじゃん!?...何で暗いんだよ?...ハッ!?ヤッパ今日は無し?何でだよっ?...もぅ知らねぇ、好きにしろよっ!」


サクラは呑みすぎて吐きそうだからと一方的に断ってきた。



ナツは釈然としない。



サクラは何があっても酒を呑みすぎない。

明らかな嘘ー

「何かもう、どーでもいいよ」

1人ごちて、岡本川の清音に7本目のタバコを投げた。




この日を境界に、ナツとサクラの間の何かが砂の城みたいに崩れ始めた。


ある時はサクラの服から止めたハズのトルエンが香り

ある時にはナツの部屋に在る物を投げ散らかす、ヒステリックなティンカーベルに化けた。


最初の頃は、(南の影響か?)とも思ったが、どうやら違う。


暴れるサクラをナツが止めようとすると「触んないでよっ!」と振り払い、一緒にベッドに入っても腕枕を拒むようになった。

サクラが何かを隠していることは火を見るより明らかだー


サクラは何を訊かれても「疲れてるだけ。私の事イチイチ気にしないでよっ!」
と強く当たった。