「サリーがうちのギターなのよ。ハチベーに聞いたけどドラム叩けんだろ!?」

「素人に毛が生えた程度だよ。その、サリーだっけ!?俺よかギター上手ぇの?俺より下手くそなら俺嫌だぜ」

「サリー、チョット挑発されてますけど、何か軽~く弾いて差し上げて」

サリーは『禁じられた遊び』を爪弾きだした。

アユムを黙らせるには充分だった。サリーの弾く姿、醸し出すムード、全てにおいてアユムは敵わないと思った。

「分かった!分かりましたぁ。こんなスゲェ格好いいギタリストには勝てないわ。ドラムやらせて頂きますますよ。でもあんま期待すんなよっ」

この日から本格的にナツの音楽人生の歯車が噛み始めた。

「そういえば」

ハチベーがナツに尋ねた。

「コヤジ君は何で何もやんないんですか?」

「コヤジの着メロ知ってんだろ?根っこから違うんだよ」

コヤジはいつもの席でワンカップを開けている。



年が明けてすぐに「Shelly」のLiveが行われる事となった―