From that one year later―――

7月30日



(あたしは未だにナツの死を受け入れられないでいる)


(ナツのお葬式には行かなかった。正しく言えば行きたくなかった)


(約一年経った今でも時折、TVで唄うナツを目にする)


(いつも同じシーンなのは発表されたのが1曲だけだから)


(変化の無いナツなのに、それでもあたしは、「ナツは生きてるんだ」って思いながら今日までやってきた)


(季節の移ろぎさえ気付かないまま、呼吸し続けた)


(あたしは今日、また1つ歳をとる。そしてこれから先はアナタより歳をとって、お婆ちゃんになっていくの)


(そんなになってもあたしはアナタを想い続けるでしょう)




ポストに郵便物を取りに行くと、白い封筒が1つ。


(手紙?)


差出人は書いてないが、宛名はミカン。


(誰だろ?)


リビングのソファにユックリと腰を沈め、1つため息をつく。


(はぁ、何だか今日はやりきれない)


そう思いながら封を切り中から便箋を取り出した。


(えっ!?)


そこには、懐かしい文字がびっしりと並んでいた。