目の前で嗚咽混じりに泣く母を見て

「ママ、大丈夫?ボクが側にいるよっ!」

そう言って笑った。

その笑顔はまさしくナツそのものだった。


「ありがとう、夏希」


限りなく不純に近い純粋。

せめて、「ナツ」と呼び続けたいとの想いから子供に夏希と名付けた。















(何度、あの人の背中に辿り着きたいと思っただろう。)







その背中までの距離はやっぱり埋められないまま。






愛しさはもう、一人よがりでしかなかった。