TVに映し出されたのは、かつて愛した人。

いや、今でも愛している人だった。






「いや―――――――――――――――――――――っっっっっっっ!!!!!!!!」






女はこの曲が自分の為に創られたのだと一瞬で解った。


そして、その場に崩れ落ちた。


もぅ何も考えられず、ひたすら涙が溢れ出る。


(何で?どうして?)


同じ事ばかりが頭を駆け巡った。


(ナツ、ナツッ!ナツ!?ねぇナツゥ??)


「ガチャ、バターン!」

「タダイマ~。ママー!」


幼稚園から子供が帰ってきた。


「あっ、おかえり」


「ママ、何で泣いてるの??」

「ううん、何でもないわよ」


「????」


「ねぇ?」

「な~に?」

「パパ好き?」

「うん!大好きっ」




子供は今の旦那の子ではなかった。

無理矢理結婚させられたミカンのせめてもの抵抗で、旦那との情事にはピルを服用していたのだ。

目の前の子は、あの夜、酔っ払ったナツとの間に出来た子だった。


そうとも知らず、旦那は我が子だと喜び育ててきた。


(この子は、一生違う人をパパと呼ぶ)