「ミャーン」
ナナ吉がナツの膝の上に上がり込んだ。

「ナナ吉、今迄ありがとな」




生き方が不器用だとしても

デタラメな軌跡を影踏みしながら

遠回りしながら

僅かなキラメキを拾いながら歩いてきた。


でも今は、美しくも哀しいそのキラメキの断片を大切だと言って拾ってくれる人はいない。


永久に終わりのない憐哀[れんあい]のメリーゴーランド。

「南、サクラ、コヤジ、お前ら勿論一緒にいんだろ?俺もお前らに会いたくなったよ。どこで待ち合わせっかなぁ?首吊り台か?ハハッ」

「ミカン、ちょっと先に逝くよ。君のいない世界に」




「パーン!!!!」


ララバイ[子守唄]はソリッドな銃声。










通報によって駆け付けた警官が部屋に入ると、ナツは右手にトカレフ、左手でしっかりとロザリオのネックレスを掴み、膝の上ではナナ吉が静かに息を引き取っていたとの事だった。




中澤 夏月
享年25歳――――――


天使になったナツ


翼がなくても好きな場所へ自由に飛んで行けるだろう。