自室で電気も着けず塞ぎ込むナツ。

虚ろぐ瞳

笑えない喜劇

何をしていても虚しかった。


独りきりの部屋で、ぶり返すのは、クラシカル.ナラタージュ[過去を回想する]

(「バッカじゃない!?」今迄何度聞いただろう?)

(「ミカンっ」今迄何度呼んだだろう?そして、これから何度返事のない君を呼び続けるだろう?)

(繋いだあの日の君の手を、ずっと護れると信じて疑わなかった)

記憶は不確かすぎて、絶対だったミカンの顔も声も時間によって色褪せ風化してゆく。

とっくに忘れてしまった温もり。

今は遠すぎて、傷つく事もままならない。

しかし、それは確かに自分が愛した人。


(天使になりたい)

偶然に期待しながら、無意識にミカンに似た人を捜しながら、人違いしながら生きる事に疲れきっていた。


(もぅ、頑張れねぇや)


そっと机の引き出しから取り出したのは、以前ピカチュウから購入したトカレフ。