(もぅ少し)

ナツの念願が手の届く所まで近づいてきた。

ある日―

バイトも休みで部屋の中で南、サクラ、コヤジの写真を眺めるナツ。

「お前らの事は忘れてる訳じゃねぇよ。ただチョットだけミカンの存在がでかいだけで。。。。だってアイツは生きてんだからさぁ」


その時、ナツの電話が鳴りだした。


「ナツ!?サプライズだっ!!」

「何慌ててんの?アユム」

「決まったぞ、メジャー」

「マジかよっ!?」

(やっと唄える、やっと聴かせられんだ)

ナツはアユムの電話も忘れ、年甲斐もなく叫んだ。

「シャー!!」




少し開いた窓から、少し冷たい夏の終わりの秋風が吹き込み、3枚の写真を床に運ぶ。

写真に写る、ナツにとって大切だった3人。

まるでナツを見守るかのように柔らかい表情で写っていた。