shellyは精力的にLiveを行なっていた。

回を重ねる度に、確実に増えていくオーディエンス。

それに伴い、箱も大きくなってく。

驚異的なスピードで動員数を増やし、そしてそれは都内だけに納まらず、遂には全国ツアーを行える程に成長した。


N県へ向かう車内―

「いや~、俺らも遂に全国行脚出来るようになっちゃったね~。」

「自分達で運転してくけどな」

「はぁ~、サリーちゃんには感動とかってのは無いのかね~。ナツはどうよ?」

「あ、うん。何!?」

「あれあれ~、なっちゃんは浸り過ぎて人の話も聞いてねぇし。マーサぁ、俺の相手してくれよ~」



ナツは一人車内で物思いにフケっている。

(ここに来るまで1年も掛かった。1日も早くあの歌を唄いたい)

1年前に完成した
『灯りの消えない部屋で』
まだ一度もLiveで演奏していなかった。

(聴かせたいのは客じゃない)

その想いからある機会まで未発表にすることになっていた。




それからまた1年―

音楽雑誌にも度々取り上げられ、シーンでの注目度はあがり、インディーズオリコンチャートでは必ず上位に顔を出すまでになった。