「この曲だけは、とことんこだわって作らせて欲しいんだ。細かい事言うかもしんないけど、皆頼むっ!」

ナツがこだわっている曲。

それは刑務所の中で、誰の為でもなくミカンの為にだけ作った曲。

テレビ、ラジオの電波を使ってミカンに届けたいと考えていた。

「オーケー、じゃあトコトン気の済むまで作り込もうぜ」



それから3ヶ月――――




『灯りの消えない部屋で』




例えばそうその人の為なら
この命さえも投げ出しても
いとわないとか

そんな恋はお伽噺の中
だけだと思ってた
アナタに出逢うまでは

星降る夜恋は始まって
愛しさ覚えて永久の絆
天に祈った

隣で眠るアナタは呟く
「なんか倖せ」と
何よりの愛言葉

幸福はあまりにも悲しい
くらい儚くて
何も望まなかったアナタが
初めて望んだ『別れ』
何時からアナタを傷付けた?
疲れた笑顔が痛かった

アナタを想い出すだけ哀しくて届かぬ想いは涙に変わり
やがて泣き疲れてアナタを夢見る
近く遠い小さな部屋の中で

例えばねぇあの夜引き止めて
いれば今もずっと誰よりも
近くに居たかな?

僕は独り遮る格子の
向こうに叶わぬ
「もしも」を問い掛けてみた

太陽が無い未来は冷たく
負けそうになるよ
この先も逢えないでしょう

だからせめていつかこの詩が
アナタに届けばと
こんな事を思うよ

アナタを失った事で僕は
僕を失って
罪を犯し自分を咎めても
消えないアナタの涙
どれだけアナタを傷付けた?
後ろ姿が痛かった

アナタを想い出す度切なくて
2人の過去が涙に変わる
たとえ色褪せても
“出逢えた真実”
きっとずっと忘れないから

アナタの無邪気な仕草や口癖も
僕を造り出す全てだった
アナタはいつも僕より倖せがいい
独り願う灯りの消えない部屋で

届いて....

I sing a song for only you





よくやくナツの想いが形になって完成した。