規則だらけで不自由な生活。

毎日は単調で、時間だけが有り余る程ある。

しかし、ナツにとっては有り難くもある。

美し過ぎる空を見て、傷付けたいと思う衝動。

そこにあるパラドックス[逆説]

腐りきっていると思う自分に、まだ美しい物を美しいと思える心が在る。

腐った身体を浄化させるには時間が必要だった。




免業日には、朝から本を読み、勉強に励み人並みに追い付きたいと必死にもがいた。

そして、就寝になると将来を考え、過去を見つめ、欠かさずミカンを想った。



ある日―
本を読んでいたナツの目に止まった、あるセリフ。

To be or not to be
[やるかやらないか]

脳みそを殴られた気がした。

日々、将来を模索しながら、でも答えなんて出てこなくて、焦りだけが先走っていた時だった。


(一度きりの人生だ。やりたい事をやればいい)


ナツの心が定まった。