ゆっくりと顔を上げるとハチベーが立っていた。

その顔は、手術中のランプに照され、赤くぼんやりと浮かび上がる。


「さっき、サリー君達に連絡しました」


バガンッ

長椅子に倒れ込むハチベー。

「馬鹿か、テメェは!」


ナツは目の前に立っている臆病者を思わず殴りつけた。


「お前、何やってた?コヤジが殺られてる時、何やってたんだよっ!?」

「コヤジ君にお前は逃げろって言われて......」


ハチベーはその場に塞ぎ込んだ。


「お前が代わりにこうなれば良かったんだよっっ!!」


「そうだよっ!俺が殺られたら良かったんだよっ。そんな事分かってんだよっ!でも怖くて出て行けなかった.....。俺はナツ君やサリー君達みたいに強くないからぁぁぁぁ。クッソー、もっと殴ってくれよ、ナツ君っ!!!」



「止めなさいっ!!」



院内に響き渡るコヤジの父親の声。

その声に制され、ハチベーの胸ぐらを突き放し、ナツは気分転換に外へ出た。