コヤジの服はボロボロに破られ

背中の刺れた大日如来は露わになり、左大腿部にはナイフが刺さったままだった。


思わず目を伏せたくなった。


「ハチっっ!救急車まだかーっ!?」

「えっ!?あっ」

すっかり動揺していたハチベーは呼ぶのを忘れていたらしい。

「バカヤロー!!」

思わず殴りたかったが、今はそれに構っていられなかった。


為されるがままのコヤジを抱き抱えると、ナツの青いシャツがジワジワとマジェンタに染色されていく。


ナツはコヤジをティモシーに乗せ病院に連れて行く事にした。

「ハチっ!コヤジが助からなかったらお前殺すぞっ!!」


そう言ってエンジンをかけようとしたが、何度やってもかからない。


「何でかかんねぇんだよっ!クソッタレ!!」

タンジェリンオレンジのタンクを何度も殴りながら怒鳴った。


「頼むよからかかってくれよ!助けてやってくれよ南っ!」

蹴り続けるナツは、まるで哀願する子供の様だった。