ナツの背中に浴びせる罪悪感


たった3mなのに近付けない。


「ごめんな.....」

「最後に一言だけ言っときたい事があった。あの時言えなかったけど愛してたよ、美夏」

初めてミカンに嘘を吐いた。

本当は今でも愛してるのに。

結婚してるミカンに本当の事を言える訳がなかった。

そして今はもうミカンの涙を拭ってやれない乾いた手で冷たいドアを開けて出て行った。


ミカンは虚ろな目で天井を見詰めたまま呟いた。



「今更平気な顔で言わないでよ」



出ていく直前のナツはミカンの知ってるナツのままだった。