10月―

ざらついた夜だった。

空に引っ掛かる琥珀色の三日月が朧に揺れる下

時の悪戯によってナツとミカンは偶然再会してしまった。




酒に呑まれていたナツ。


ミカンの手を無理矢理引っ張る。

「ちょっ、なんなの!?痛い、離してっ」

「うるせぇ!だまれっ」

ナツは近くのホテルへミカンを強引に連れ込んだ。



「どーゆうつもり?ナツらしくないよっ、こんなの」

「あ"っ!?何だそれ?優しくないと俺じゃないのかよ?」

ピンク色の卑猥な照明の中で似つかわしくない対話。

ナツはただひたすら優しくない自分を見せたい一心で動かされていた。

何が何だかまだ理解しきれていないミカンをベッドに突き倒す。

ミカンの服を剥ぎ取り、自らも服を脱ぎ捨てた。


ミカンの目に飛び込んできた両腕と背中の刺青。

半年前には無かった物。

ミカンは懸命に自分の知っているナツを探してみた。

しかし断片さえも見つけられない。