ナツは自分をもっと傷付けるかの様に、まず選んだのは、見せ物になり蔑視を浴びる事。

今、正にボロ雑巾のようなドブネズミに、短時間の現実逃避。

まるでナナ吉のようだった。




「邪魔だバカッ!!」



ナツの肩にぶつかったのは、全身赤色の服に着られているギャング気取りの3人組。


現実に引き戻されたナツの瞳は零下に凍ったように冷たい。

暴力―

心の悼みを和らげた

そこに良心を咎め立てする物は、もぅ何1つ存在しない。

ただ爆発しそうな欲求にアージ[催促]されるがままに殴り続けるだけ。


心を巣食うマリス[悪意]―

毒々しい蜘蛛を黙らせるには最高のアスピリン[餌]。
囚えられた蜘蛛に与えられた世界は小さな虫かごの中だけ。

持て余した時間で巣を張り巡らし、来る日も来る日も、大きな餌を待ち続ける。

小さな網目から自分が出られないのも考えずに。

そんな飢えた蜘蛛の巣に、蝶を戸惑いなく閉じ込められる子供が持つ残忍な純真。