「そっか」

(「No」と言って欲しかった。それで徹底的に打ちのめして欲しかった)

(これ以上ナツを見ていると、抱きついて全部嘘だと自白してしまいそう)

ミカンはかろうじて残されたニセ物の心を奮い立たせ、サヨナラを言う事にした。



「じゃ、もう行くね...?」

深愛ゆえのためらい。

どこかで期待してた「アイシテル」

ナツの表情から分かるのは変わらない結末。

もう最後のセリフを言わせまいとするマテリアル[要素]は何処にも無い。

(これがアタシの望んだ事)

ミカンは結んだ唇をユックリと緩めた。

「バイバイ、ナツ」