ミカンはプライベートを明かす必要は無いと、当たり障りのない解答をしたつもりだった。

それが5日前。

その翌日、父 良英の電話が鳴った。

相手は岩岡社長。

最初は他愛のない話から、徐々に美夏の話へと誘導されていった。

話の中で、岩岡が美夏を気に入ってる事は判ったが、結局何が言いたいのか良英は理解しかねていた。

それから3分後、受話器を置いた良英は頭を抱えて落胆した。

最後の会話―

「その事につきましては、追って御連絡致します」

「いい返事頼むよ」

その事―

「美夏ちゃんを家の息子の嫁にくれないか?君んとこ、ウチに切られたら喰ってけんだろぉ?」

強制

しかし、岩岡の言葉通り断れば結果は何よりも明白だった。

2日間悩んだ良英は美夏と一緒に暮らしていたナツを思い出し

(あんなどこの馬の骨とも分からん奴に娘をくれるぐらいなら)

と、美夏に頭を下げる事にしたのだ。

勿論、理由は会社の危機。