「何か今日、おかしくないか?」
 
「.....話たいこと....あるの」
 
ナツの表情が瞬時に強ばる。
 
過去にもこの戦慄の緊張を何度か経験してるから。
 
ミカンが次に何を言おうとするかが容易に察しがつく。
 
もしも、そのセリフを言われてしまえば
 
「分かった」と優受してしまうであろう自分。
 
そうならないためにも
 
必死に仮初め(その場凌ぎ)の言葉をまくしたて土壇場で足掻く。
 
「取り敢えずベンチに座ろっか?」
 
「雨降りそうだし、その辺の店に入る?」
 
「ここに居たら人の邪魔になるぞ?」
 
 
空し過ぎる時間稼ぎ。
 
 
堪らずミカンが声を荒げた。
 
「ちゃんと聞いてっっ!!」
 
どう足掻いても無駄だと黙る。
 
 
そして、悲嘆のダイス[賽]は投げられた。