「付き合ってよ」

言われる度に曖昧にはぐらかしながら流してきた。

そうすればフラれることはないから

「俺は酒がありゃ何もいらねぇの!なぁコヤジ~?」
「その通~り!!」

そう言ってコヤジはワンカップに口を運ぶ。

コヤジ―本名は宏児。

かなりの男前なのだが、たいぎがりで口癖が「面倒臭ぇ」。

手にはいつもワンカップが必需。

携帯のメロディは『東京砂漠』

そんなだからオヤジの一歩手前のコヤジになった。

「コヤジの恋人は本酒だろ?俺のラバーは薬物だね(笑)兎にも角にもブッ飛べるんなら何でもオッケー!リーガルもイリーガルも上等よ」

こう言う南は根っからのジャンキーだ。

四六時中何かしら効かしている。

部屋の押し入れでは大麻を自家栽培してるくらいだ。

今吸っているのも煙草じゃなく、ジョイントした大麻に決まっている。

その証拠に店内のBGMのテクノにご機嫌な様子で音に引き込まれ1人の世界に突入して行った。