受話口から聞こえるナツの無邪気な声。

それがミカンの胸に“チクリ”と痛みを走らせているとは露とも知らずに。

「ねぇ、何時に待ち合わせる?」

時計を見るとPM4:00を少し回ったところ

「じゃあ、19:00に....」

「赤い橋でいいんだろ?」

プレゼントの玩具を待ちきれない子供の様にナツは遮る。

ミカンは1つ深呼吸して、出来るだけ明るい声音を出す。

「ううん。たまには違う場所にしようよ」

ミカンに指定された場所は、人通りの絶えない街中にあるオープンスペース。

(珍しいな?)

ナツは思ったが、野暮な事は訊くまいと素直に了解し電話を切った。

(ウッシ!長かったぜぇ。)

あと数時間後に待ちわび過ぎた再会が訪れる。