その日の夜、ミカンから電話があった。

「あのね、当分会えないと思う。ごめんね」

いつもの猫撫で声は涙声に変わっていた。

「そっか、仕方ないよな?」

「ねぇ、寂しくない?」

「寂しくない。。。って言いたいけど無理か。でも取り敢えずナナ吉居るしギリ大丈夫かな。今迄が上手くいきすぎたんだなぁ。寂しくいくらいが丁度いいかもね、今の俺には」

「ナツが寂しい分、ミカンも寂しいんだからね!1人だけ寂しい訳じゃないんだよ」

「そうだな。ごめん、ごめん。まぁ、これで終わりって訳じゃねぇし、待ち合わせが楽しみになるのもいっか?」

「良かったぁ。そう言ってくれて。怖かったんだ、ナツに『別れよ』って言われたらどうしようって」

「バッカじゃねぇ?んな訳ねぇじゃん。つーか、誰の真似か分かった??」

「ミカンはそんなムカつく言い方しないもんっ!バッカじゃない」

笑い合う2人を繋ぐ見えない電波が今は何より大切だった。

「じゃ、俺今からバニラ行ってくるわ。早く会えたらいいな」

「うん、気をつけてね。明日また電話するね」