二月のよく晴れた日曜の午後―

淡い光の揺りかごに揺られながらナツは微睡みと戯れていた。

隣からは今にも止まりそうな弱々しい呼吸音が聞こえ、1人じゃない事を教えてくれる。

その時

「ピンポーン」

部屋中に響き渡るベルが再度の睡眠への導入を妨げた。

三回目のベルが鳴った時

「チッ」

ナツは舌打ちをして玄関に向かった。

まだこの時は破滅へのチェックメイト寸前だと知る由もなかった

ドアを開け、そこに立っていたのは口髭を蓄え、見るからに傲慢さが判る中年の男。

その男はここに至るまでは、物音1つ立てず忍び寄り

追い詰めた後は大胆にも真正面から、しかも強制的に土足で踏み込んできた。

「誰、あんた?」

「ミカはどこだ?」

この男が両手では抱えきれない程の訣別のギフトを持って来たジョーカーだと気付くまでそう時間はかからなかった。

「お父さんっ!?」