その年のクリスマスの夜。

ナツはミカンとの待ち合わせ場所へと走っていた。

時計の針は19:15


「やっば!遅れちゃったよ」

急ぐナツの胸には、バースデープレゼントでミカンに貰ったロザリオのネックレスが揺れる。


赤い橋の上では、白いコートにくるまれた小さな女の子が頬を膨らませ、怒ったフリをしている。

「マジ、ごめんっ!来る途中に火星人に偶然会っちゃってさぁ、そいつが言う訳。『道に迷ったから教えて』って。それで遅れちゃいましたっ」

「バッカじゃない!?」

ミカンの口癖を聞くと、ついナツは笑ってしまう。

そして、本当はプレゼントのピアスを受け取りに行って遅れた事は黙っておこうと思った。

「で?その火星人はどこに行きたかったの?」

「えっ!?えっと、あそこ、え~、あっ!靴屋さん」

「何で?」

「何かさぁ、裸足は痛いって」

「ふ~ん。もしさぁ、次にまた会ったら言っといてよ。靴より服買えよ!ってね」