君と出会って

「パパ」

睦海は足元に来て小さい手で俺の人差し指をギュッ、と握った。

「バイクに乗らないの?」

誰の言葉よりも胸に突き刺さる。

「うん、もう辞めたから」

睦海の身長に合わせるように俺はしゃがみ込む。

「えー!パパ、速いのに辞めちゃったの?」

睦海が急に沈み込んだ。

俺の方が落ち込みそうだよ。

「うん、辞めて今はこのチームの監督してるの」

「えー、あたしは大きくなったらパパと一緒に走りたかったのにぃ」

その瞬間、思わず近くにいた真由を見つめてしまった。

…こんな事、今年で4歳になる睦海が言える訳がない。

絶対に真由が吹き込んでいるに違いない。

真由は一瞬、こちらを見てすぐに視線を逸らした。

…間違いない。

「睦海、本当に自分でバイクに乗りたいって思ってるの?」

一瞬、間が空いて

「うん」

「…本当に?」

「うん」

少しだけ、真由の方を向いたな…

「じゃあ、今月末に乗ってみる?」

オフロードだけど、子供の講習会があったはず。

「乗れるの?」

睦海の目が輝いた。

「じゃあ申し込むよ」

「うん!」

睦海がもの凄くはしゃぐのでそれを見ていた祥太郎が

「今からでも本格的にポケバイに乗せたらいいのに」

と苦笑いをした。

「乗せてみて、睦海に合わなかったら自然とバイクに乗る、なんて言わなくなると思うけど?」

祥太郎は俺が睦海には乗せたくないっていうのを知っている。

「そうだな…」

その言葉に納得した。