君と出会って

250の次はSB。

光は椅子に腰をかけたまま、調整の終わったマシンをじっと見つめていた。

これが光の集中する時のスタイルらしい。

「光」

声をかけるとゆっくりと俺を見上げた。

「久々の全日本だから、結果を出せなんて言わない。
とにかく楽しんでおいで」

俺は微笑んで言うと光はただ、頷いた。

お喋り好きな光が一言も話さない。

ひどく緊張してるな…

「光〜!」

俺は両手で光の頬をムニュっとつまんだ。

「葬式に行くような顔をすんな!
無理せず、今日は自分が今出来る事をしっかりしてこい」

頬をクリクリっと回してから手を肩に置いた。

「とにかく、このレースに出られる事を楽しんでこいよ。
何なら隆道にピッタリくっついて嫌がらせでもしてこい。
あいつの後ろは中々楽しいぞ?」

「…それが楽しいのは門真さんだけやで」

光がようやく笑った。

「いやいや、光でも楽しめるから。
ま、転倒だけには気をつけて」

光は笑みを浮かべて頷いた。