君と出会って

「俺はいいよ…、至が付いててくれたらそれで」

全日本最終戦が迫ったある日。

拓海の申し出に俺は戸惑った。

何で。

拓海の彼女が…俺のパラソル持ちをするんだよ?

拓海、そんな事をしなくても。

俺の横はメカニックの至でいいから。



俺が長年所属するチーム『K−Racing』はその昔、国際舞台で活躍したライダー、柏原 賢司さんが引退して小さなバイクショップを開いた。

それと同時に若いライダーを育てるプランを立てて。

家の事情でバイクを諦めようとしていたまだ10歳の俺を引き取ってくれた。



けれど。

日本最高峰のレース、スーパーバイク(SB)に出させてもらっているけど。

期待されているほど俺は結果が出せていない。

この最終戦の前のレースでも決勝は15位。

お金がかかっているのに、申し訳ない。



「そーちゃん、このチームは華がないから。
一度やってみようよ!」

拓海の強引な様子に俺は折れた。