「無い・・・」
兵士の両腕は、手首から先が無くなっていた
「無い・・・」
心臓の鼓動と同じ周期で、手首から血が噴き出す
「俺の、腕・・・が」
兵士はガクッと膝を崩して、その場に倒れる
同時に腕に激しい痛みを感じるが、すぐにまた感じなくなった
「・・・・・・」
兵士はすぐに動かなくなった
それを執政官と、エリオが呆然とした表情で見ていた
処刑台を取り囲む民衆や近くにいなかった他の兵士は、何事かとざわめき始める
「・・・だから、加減しないと」
リクは処刑台にいる人物に向かって、ひとりごちた
リクの隣にはシオンはいなかった

