「何故、何のために?」
その人物はシオンに向かって話しかけてきた
「それとも、誰・・・のため?」
「・・・何のことだ、何を言って・・・」
その人物は、町らしき物のある方角を指差した
「・・・?」
「もう、大丈夫・・・歪みは、消える・・・」
「お前、一体・・・」
歪みについて知っている・・・こいつは一体
「あとは、時間の問題・・・明日の午後、終わるから・・・」
「明日の午後・・・何があるんだよ、あそこで」
その人物は何も答えなかった
「お前は何者だ、何を知っている・・・それと、何を・・・した」
「何も」
その人物はそれだけ答えたら町とは反対の方角に歩き出した
「・・・何なんだよ、アイツ」
「僕たちと同じだよ、シオン」
リクが落ち着いた声で言った
その人物はもう見えなくなっていた
「・・・同じ・・・俺たち、と?」
リクは首肯した
「今の人も、世界の歪みを直している“能力者”の一人なんだ」
「俺たち以外にも、いるのか」
「色んな世界に、色んな人が・・・ね」

