この世界は以前よりはファンタジーらしい感じがした
だだっ広い草原の向こうに、ポツンと何か町の様なものが見える
「なぜか人の住んでる場所が少ないんだよね」
リクがRPGによくある現象について指摘した
「人間しかいなかったら、つまらんだろ」
「いやいや、モンスターより人間の方がよっぽど怖いよ」
こいつは人間嫌いなのだろうか、悲観的なのだろうか
このときシオンはまだ、リクの言葉の意味を理解できなかった
「モンスター、出るといいね」
「倒すとアイテムでも落とすのかね、まったく」
「さあ、分かりませんなあ・・・ま、行ってみようよ」
街道を少し歩くと、人が立っていた
黒い大きめのコートを身に纏い、顔の下の方が隠れていた
男か女かは、分からなかった
「誰だろう、何だか怪しい格好だな」
「学校の制服着てる僕らも、この世界では十分怪しいと思うけど」
「それはそれ」
「はいはい」
その人物は、シオンやリドルと背丈が同じくらいだった
二人の身長を足して2で割ったより少し小さいくらいだった
「あなたは」
その人物がこちらに気付いてこちらに声をかけてきた

