「ねえ、どうして・・・どうして駄目なの?」

・・・声が聞こえてきた

「私・・・なんて・・・たくないの」

とても小さく、悲しげな声だった

「本当は私・・・・たいの」

少女の声だった、澄んでいて綺麗な声だった

「私・・・わた、し・・・どうしたらいいの・・・・?」

声しか聞こえなかったが、少女はきっと泣いている
シオンは胸が痛くなってきた

「ねえ、・・・答えて、答えてよ・・・エリ・・・」



目を開くと、リクが目の前にいた
「大丈夫?」
シオンは少し汗をかいていた
「なんか苦しそうにしてたから・・・」

「声が、聞こえたんだ」
「声・・・?」
シオンは頷いた

「女の子の声だった・・・泣いていたよ、その子」
「そうなんだ・・・僕には聞こえなかったけど」
「・・・前にも聞こえたんだ」
「それって、この間のこと?」

シオンはまた、頷いた

「あの時は違う声だった、たくさんの人の悲鳴だった」
「それってもしかして・・・」
シオンは首を振った
「わからない、でも・・・」


あの声は、本当に悲しい声だった
聞いているこちらも、泣き出したくなるような・・・
魂を揺さぶるような、声だった