突然あたりが薄暗くなり、まわりの空間が崩れだした。
ブラウン管のテレビで何も放送していないチャンネルに映る、砂嵐のようなものが、世界を覆っていった
シオンはあたりを見回した
「これは・・・」
「帰るんだよ、これから」
「元の・・・世界へ、か?」
リドルは頷いた
「この世界が本来あるべき姿に戻ろうとしているんだ」
「じゃあ・・・今まで起こったことは?」
「うん、これで無かったことになる」
「それじゃあ」
リドルは首を横に振った
「ロゼさんは、このことを忘れないよ。彼女も・・・“能力者”なんだ。たとえ世界が変わっても、“能力者”はその事を覚えているんだ」
「何だかそれだと、世界から外れたみたいだな・・・俺たち」
「あはは、そうだね・・・世界から外れた存在の僕たちが、世界を救うなんて・・・皮肉だよね」
少しリドルが寂しそうな表情をした。
シオンはそれを見ていた。ただ、見ていた
「また、会えるかな」
「たぶんね、あの人が居るから」
「あの人って?」
「今度紹介するよ」
世界が完全に真っ白になった。

