世界から


「ふ」
女性の顔から笑みがこぼれた。
「ふふふふふ、面白い奴だ。いいだろう教えてやる、ただし」
「ただし?」

「目的も殆ど同じなのだから、協力してもらおうか」
「具体的には・・・?」
シオンが聞いた。女性は笑って
「しばらく私の駒になれ、奴らとチェスをするための、な」

何だか嫌な予感がするなか、シオンはふと思った。
この世界にもチェスはあるんだ・・・


「あの、それも全然具体的ではないんですが。チェスの駒って」
「ふふふ、後でちゃんと説明してやるさ。その前に互いの名前と・・・戦力の確認だ」
とりあえずシオンは名前を女性に名乗った。
「ふむ、シオンか。珍しい名前だな・・・で、そっちの小僧は」

「ああ、僕はリドルって言います」
リドル、いやいや何を言っているんだこいつは。

「僕のコードネームだよ」
リクは小声でシオンに言った。コードネームということはリクはどこかの秘密組織にでも所属しているのだろうか、それともただの電波なのだろうか、今はそんなことはどうでもいいことだったが、やはり少し気になってしまった。

「ふむ、シオンにリドルか。私はロズレイド・ランカスタ。“ロゼ”と呼ばれていたからそう読んでくれて構わん。さて、では次はそれぞれの戦力確認だ。お前達には・・・何が出来る?」
二人の能力についての質問だった。

「僕は本を媒体とした召喚や封印など、俗に言う“魔法”とそこそこの体術が扱えます。武器は・・・飛び道具とチャンバラ芸なら」
チャンバラ芸というが、リク・・・いやリドルは姉に鍛えられているせいか、剣道もそれなりに出来る。

「それで私のナイフを“封印”した、というわけか」
「まあ、そうなりますね。ナイフは後でお返しします」
「構わんよ、一つくらいくれてやる。では次は私だな」
ロゼはさっきつけたばかりの眼帯をまた外した。