「この能力は人間の精神が力の源なんだ。精神力がパワーなら、想像力は技術力。考えが同じ人間がいないように、同じ能力をもつ人間は二人といないんだよ」
ほお、とシオンは感心していた
「そんで、僕は本が好きだから本を媒介とした能力が得意なわけ。別に使おうと思えばRPGとかみたいな魔法も使えるけど、見た目だけで威力とかが全然無いんだ。だから自分が一番集中できて、何より気持ちを乗せやすいやり方や能力のほうがいいんだ」
「だとすると・・・俺にも何かしらの能力が扱えるとして、それをどうやってみつけりゃいいんだ?」
「それは僕には分かんないって。自分で色々試してみなよ」
リクが「そういえば趣味は?」と聞いてきたので、考えてみたがこれといって浮かばなかった
うーん、何だか自分がつまらない人間に思えてきてしまった。
「そういえばシオンって何でか知らないけど喧嘩強いよね。何か体術の心得でもあんの?」
「いや、全く。っていうかお前だって力全然無いくせにクラスの不良を何かもう可哀想な位にボコボコにしてたじゃないか」
「ふふん。柔術の心得が無い奴に僕が負けますかっての」
「俺には敵わないくせにか?」
「・・・・あ」
リクが何かに気付いた
「そうか、シオンにはきっと天性の格闘センスがあるんだよ、たぶん」
「まさか、ソラには一度も勝てなかったぞ。剣道でだが」
ソラは剣道部員である。実力的にはかなりのレベルだが、色々あって大会ではそれほど大した成績を残しておらず、一番強いくせに部長にも何にもなっていない
「あれは姉さんが強すぎるんだよ。たぶん真剣持たせたら鉄でも斬っちゃいそうだし」
「いや・・・それは無いだろ」
何だか話がずれてしまった
「まあ・・・この世界で死んでしまうことは無いからそんな心配しなくていいよ」
「いよいよもってゲームの世界か、ここは」
「この世界で死ぬと元の世界に戻されるんだ、傷とかは消えるけど痛みは感じるし、死ぬほどの痛みだと精神崩壊起こすかも」
「・・・まあ、結局死なない方がいいな」
「是非ともそうしてもらいたいね」

