「しかし・・・シオンは本当に大物だね。これだけ色々あっても殆ど驚いていない」
「まあな、俺は常に現実を見ているから、目の前で起きていることは認めるしかないって思ってる」
ただ、リクの魔術めいたアレは認めたくは無いが。

「また疑問に思うことがいくつかあるんだが」
「歩きながらでよければ」
シオンはいくつか質問をした。

「もし問題を解決して歪みが消えたら俺たちは帰れないんじゃないのか?」
「あ、それは大丈夫。問題なくちゃんと帰れるようになってるから」
「何かよく分からんが・・・じゃあ次の質問」
「どぞ」

「この場合何をどうすれば問題が解決するんだ?」
この世界が少し異常な思想家が創り出したものだとして、どうすれば問題が解決できるのかがさっぱりだった。
「それは場合によるけど・・・大抵は争いを止めるとか、魔物を討伐とか、物語の主人公がやりそうなことをやってれば大抵はオケなんだけど・・・」

「だけど?」
「たまにその世界そのものが“歪み”であることがあるんだ、その場合は・・・」


「逆に魔王になれと」
「まあ、そうだね・・・何とも気が進まないけど、こっちの世界が消されるのはごめんだからねえ」
「何だかなあ・・・」
「僕たちは勇者でも魔王でも何でもないよ、ただの人間なんだ・・・結局は」

リクがわざとらしく「疲れた」と言わんばかりに大きなあくびをするが、シオンは構わずに質問を続ける。知らないと正直不安で仕方が無かった

「ああ・・・それと、お前のあの変な魔法」
「魔法じゃないって」
「じゃあなんて言えばいいんだよ」
「お任せします」

「・・・まあいいや、アレって俺にも使えるのか?」
「無理、他人と同じ能力は基本的に、無理」
リクは即答した。

「なら別のなら使えるのか」
リクは頷いた。