芭衣ちゃんの想いは強い。


 でも芭衣ちゃんは深君に聞く勇気はない。


 それじゃぁ私たちが、ていうわけにもいかない。


 これは芭衣ちゃんの恋だから。


 それじゃぁどうすれば・・・。



「(ボソッ)今日はそっとしといたほうがいいかもな」



 茉里唖が心配そうに、小声でいう。



「(ボソッ)そうだね」


 今日のところは帰ったほうがよさそう。


「芭衣ちゃん、今日はもう遅いから私たち帰るね。また明日、学校でね」


「あ、うん。・・・ばいばい」


 そういって、芭衣ちゃん私たちを見送らないで部屋に閉じこもったままだった。


 茉里唖は芭衣ちゃんのお母さんと少しだけ話してから、家からでてきた。



「何を話してたの?」


 あとから聞いてみた。


 茉里唖は少し黙ってから、


「あいつ・・・白能美がどうしてあんなふうになったのかって聞いてきたから」


「深君のこと、言ったの?」


「言ってない」



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『芭衣は・・・どうしてあんなふうになっちゃったのかしら?教えてくれる?」


『あの・・・。俺から教えることはできないです』


『そう・・・』


『でも。芭衣さんを優しく見守っててあげてください。俺から言えることはそれくらいしかないです。芭衣さんの口から、何があったのか言える時がくれば、聞いてあげてください』


『わかったわ。有難う』



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