『桜』と『はちみつ色』の君 【短編】




 「家、すぐそこなのでここでいいです。送ってくれてありがとうございました。
 今日は、楽しかったです。」


 「僕も楽しかったよ。
 お弁当はとてもおいしかったし、・・・膝枕も気持ちよかったよ。

 明後日は、『聖女』の入学式だよね? 桜ばっかり見てると転んじゃうから気をつけてね!」


 「・・・わかりました。転ばないように気をつけます。
 今日は、本当にありがとうございました。

 じゃ、家に帰ります。さようなら。...」


 「・・・うん。・・・さようなら・・・





 ・・・あ、あのさ・・・」


 「はい、何ですか?」




 「・・・う、ううん。
・・・何でもない。ごめん、引き留めて。

 じゃーね!・・バイバイ。」


 「? じゃぁー・・・。」



 家に入る前にもう一度振り返ると、まだ手を振ってくれていた。
 もう一度、手を振り返して家に入った。−−−−−






 「はぁ〜ぁ・・・、ケータイ番号結局聞けなかった・・・。



 まさかこんなに後悔するとは・・思ってなかったなぁ・・・。」


 独り言が空に消えて行った。