『桜』と『はちみつ色』の君 【短編】



 「はい、そうです。初めまして。僕は、健太朗(けんたろう)です。よろしく!」

 「私は、椿です。こちらこそよろしくね。」


 「僕、・・・椿さんに謝らなくちゃ。 今日、僕ね、用事で行けなくなっちゃったんだ。行きたかったんだけど・・・。」


 「そっか。用事なら仕方がないよね・・・。」


 何度も謝って帰って行った。



 帰り際、こっそり蒼一朗に、

「お兄ちゃん!二人きりにしてあげるんだから、頑張りなよ。ぼーとしてると他のやつに取られちゃうよ!」

なんて耳打ちしていたなんて 私は知らずに、健太朗君を見送っていた。



 「可愛い弟くんですね。しっかりしてるけど、小学生ですよね?」


 「うん。僕とは10歳離れてるんだ。可愛いんだけど最近じゃ生意気なこと言うようになっちゃってね・・・。」


 そう言う蒼一朗は、すっかり優しいお兄ちゃんの顔だ。