『…んで?この豚バックの中には、なにが入ってるの?』

『ぶっ!豚とは何よっ!…教科書だよ、教科書っ。もう受験生だよ?勉強してると、教科書がないとあれこれ困っちゃって…』

激しくため息をつきながら、去年よりすこし伸びた髪を軽くいじる。

『ああ…受験ねぇ…。だりいな。』

『…悠ちゃん、ドコ、受けるの?』

髪をいじる手を止めて、まっすぐと俺の目をみて尋ねた。

『…え、あ…まぁ、月山高あたりじゃねぇ?大体ウチの中学の奴らってレベル一緒だから、その辺じゃん?』

『月山高…かあ…』

あさっての方向に目をむけ、瑠璃がひとりごとのようにつぶやいた。