俺は顔に色んなものを塗りたくる明日美を見ながら、教室の黒板の上にかかっている時計にも目をうつす。

午後4時15分。
あと2時間近くもある。

『明日美ぃ。おまえ化粧なんかしなくたって十分可愛いよおー』

『ケンちゃん。メイクはエチケットなの!常識なの!』

明日美は肩にもたれかかるケンをどかし、鏡とにらめっこして睫毛になにかを塗ろうとしていた。