ありえねえ………

「じゃあさっ、」

「悪いけど、」

男の言葉を俺は途中で中断させてあゆみの前に立つ。

「これ、俺の」

俺はそれだけ言うとあゆみの手を握って無理矢理教室から連れ出した。

男の嫉妬なんてかっこわるいんだろうな。

「太一…?痛いよっ…」

あゆみの声が背後に聞こえてゆっくり振り向かずに立ち止まった。

まだ続いているイライラとした気分。

「太一…あのさ、」

「お前ほんとに俺のこと好きなわけ?」

自分でも驚くほどの低い声。

「…え……?」

震えているようにも聞こえるあゆみの声。

そっと振り返った。