「アンパン買ってきて。」

また始まった。
4時間目になると隣のコイツは
呪文のように

「アンパン買ってきて。」
って言いつづける。



「うるさいなぁ~。
自分で行けばいいじゃん。」




「だってぇ~
三谷に買ってきてもらいたいんだもん。」






ドキ・・・。





分かってる。
祐璃はただ、めんどくさいから
私に買ってきてって言ってる。


だけど・・・



「・・・分かった。買ってきてあげる。」


「さんきゅ。」



祐璃のこと好きだもん。
憎たらしいけど。





4時間目の授業が終わる・・・。

あと5秒・・
  4・・・
  3・・・
  2・・・
  1・・・。

「よっしゃぁ~!
三谷!走って売店イケぇ~!」

祐璃が私の背中をポンっと押した。


「ホント自分でいけばいいのに。」

「ぐちぐち言ってないで早くいけって!
売り切れたらどーすんだよ。」


「祐璃のば~か!」
そう叫んで私は4階の教室から
1階の売店まで走った。



「はぁ・・・はぁ。」


1階の売店目指して走ってるのは
男のみ・・・。


「祐璃のばかぁ~。」


ようやく売店についた。
1階の売店にはすごい人。
しかも男だらけ・・・。



最悪。





「三谷に買ってきてもらいたいんだもん。」
祐璃のその言葉が頭をながれる。


「よしっ!」

腕まくりをして戦闘態勢にはいる。

「ここまで来たんだから
祐璃のためにあんぱん買ってやる~っ!」



そして男だらけの売店に
私は突入した。