エルフは卓越した弓術を持つものの、狩りはしない。

自然との共栄を旨とするフーガと同じ主義の一族で、無闇に魔物を狩る…と思われているらしい…ファイアルの民には少なからずよくない感情を持っているとか。

そんなエルフのフィルナに言うのは少々憚られるが。

「俺達は、この砂漠に生息するっていう甲竜を狩りに来た」

俺とナハトは、ドーラが汚竜によって暴虐の限りを尽くされている事、そして竜種を討伐しているという事情をフィルナに話す。

「成程な…」

腕組みし、目を閉じ、静かに俺達の話を聞いていたフィルナ。

その瞳が開かれる。

「ナハトのその表情から察するに、もう散々『自業自得』の咎めは聞かされてきたのだろうな…ならば私からは最早言う必要もないだろう…で…」

彼女は俺達二人の顔を見比べた。

「結論から言ってしまえば、お前達二人では甲竜討伐は無理だ」

「な…」

あまりに単刀直入な答えに、ナハトが絶句する。

「いや…語弊があるな…お前達は仮にも刃竜と牙竜を仕留めたのだったな…その腕前を疑っている訳ではない…無理だと言ったのは、お前達では甲竜は発見できないという事だ」