街の者達がどよめき、目を見張る。

その視線は街の通りを歩く俺が肩に担ぐ、刃竜の角に集中していた。

「お、おい…おい、火の玉!」

たまらず一人の男が俺に声をかける。

「そりゃ何だ!?まさか…」

「ああ」

俺は優越感に浸りながら答えた。

「刃竜の角だ。さっき山岳地帯で仕留めてきた。ナハトと俺の二人でな」

その言葉で、どよめきはざわめきに変わった。

「刃竜って、山岳地帯に住み着いているって噂のあの竜種か?」

「目撃者も数えるほどしかいなくて、只の噂話だって言われてたあれか?」

「ほんとにいたのかよ?」

口々に言う連中に対し、俺は言う。

「信じられないなら山岳地帯に行ってみればいい。まだ刃竜の屍が転がっている筈だぜ…もっとも…そこに行くまでに駆竜の群れを掻い潜っていかなきゃならないけどな」

知っている。

こいつらは口だけは一端で、山岳地帯に寄り付く度胸さえない腰抜けばかりだ。

その証拠に、誰一人として刃竜の屍を確認できる奴はいなかった。